1950年に日本の電機部品製造会社が開発した結束バンドは、今や世界各国で用いられているグローバルアイテムとなりました。
名前をご存知ない方でも、一度バンドを締めれば緩むことが無いものというキーワードでどのようなものかお分かりになることでしょう。日本発の世界に誇れるアイデア商品といえるものです。この結束バンドの特徴は、特殊な工具を使用しなくても力加減で締め付け具合を調整できるという点です。開発当初は電線や配線等をまとめるための電機部品でしたが、その後改良が加えられると同時に使用用途も広がっていきました。
医療用途向けの製品もあり、このアイテムを「インシュロックバンド」といいます。基本構造は結束バンドと同じくバンドの裏面に凹凸があるものですが、医療用途向けの場合はコラーゲン質で作られているので一定期間で体内で溶けます。「インシュロックバンド」が使用されているのは心臓外科手術時であり、血管をつなぐ際に利用されているものです。心臓血管を縫合するには高度な技術と知識が必要で、1990年代までは限られた医療施設でないと手術が受けられなかったものです。
しかし、「インシュロックバンド」が登場してからは血管同士をバンドで固定できるようになり、大幅な手術時間の短縮と難易度が軽減されることとなりました。そのため、現在では数多くの医療機関で心臓外科手術に対応できるようになり、多くの人々の命が救われているという訳です。医療用途でも大きな貢献をしている結束バンドは、今後も改良が加えられて活躍の場を増やしていくことでしょう。